名古屋市千種区の大通りの脇にあるお宅ですが、庭の中に入ると山深い野趣のある空気感に満ちています。
茶の湯の言葉にある「市中の山居」という表現がしっくりくるような、塀のすぐ向こうに都会の喧騒があるとは思えない雰囲気です。
カシなどの常緑樹を背景に、そしてコナラを主木に、石組や植栽、起伏などの重なりで奥深く、山深い雰囲気を醸し出しています。
こちらは、昨年末に手入れに伺ったときの庭です。大きな庭石や名石をこれ見よがしに据えるのではなく、まるで木曽や美濃の山々の名もない沢に転がっているような、そんな石組です。
これを作庭したのが、父がまだ30代後半の頃です。それから40年近く父が年に2回手入れに伺い、お客様自身も愛着を持ってこまめに手入れをされているのが伝わってきます。
父が昨年74歳で引退をしましたので、それを機に私が手入れを引き継がせていただきました。父の営んでいた「庭の梅幸園」の話は、また別の機会にアップしたいと思います。